呼吸器のがん(肺がん)

肺がんとは

23.09.29

肺がんは、肺組織内で発生するがんの一種で、通常は肺の細胞が異常な成長を始めることから始まります。

肺がんの主な発症要因は喫煙です。喫煙によって肺に取り込まれた有害物質が肺組織に影響を及ぼし、がんの原因となります。ただし、喫煙以外には、化学物質に起因するもの、遺伝的要因などもあります。

初期の肺がんでは、通常、症状が現れにくいですが、進行すると、慢性的な咳、喀痰(痰)、呼吸困難、胸部痛、声のかすれ、体重減少、疲労感、咳血などの症状が見られます。

肺がんの診断には、X線、CTスキャン、MRI、PETスキャンなどの画像検査、痰の細胞検査、組織生検などが行われます。組織生検は最も確実な診断方法でがんの存在と種類を確認します。 肺がんは患者数、死亡率ともに世界的に高いがんの一つであり、早期発見と適切な治療が重要です。

肺がんの主な種類としては、以下の2種類となります。

・非小細胞肺がん (Non-Small Cell Lung Cancer, NSCLC):

NSCLCは肺がんの最も一般的な形態で、約90%の肺がん患者がこれに該当します。

主に腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌の3つのサブタイプに分類されます。 早期段階では症状が現れにくいことが多く、進行すると咳、咳血、呼吸困難、胸痛などが現れることがあります。

・小細胞肺がん (Small Cell Lung Cancer, SCLC):

SCLCは非常に増殖が速く、早期に他の部位に転移することが多い特徴があります。

喫煙者によく見られますが、非喫煙者にも発生することもあります。 一般的に初期段階で発見されることは少なく、進行肺がんとして診断されることが多いです。

肺がんに対し提案される治療の一例

手術:

手術は肺がんが限局性(局所的)でかつ手術が可能な場合に選択されます。通常、手術では、がんの部分的または完全な摘出を行い、周囲の健康な肺組織を温存します。

手術の種類は、肺の部分切除(葉切除)、肺葉全摘(肺葉摘出術)、または肺全摘(肺摘出術)などが含まれます。 この手術は、ロボット支援手術で行うことが可能です。ロボット支援手術は、高精度な手術を可能にし、従来の開腹手術に比べ小さな切開のみで行う低侵襲手術のため、患者への身体的負担が少なく、早期回復が可能という利点があります。

放射線療法:

放射線療法は、手術が適用できない場合や手術後にがん細胞を残している可能性がある場合に使用されます。 高エネルギーのX線や陽子線などを使用して、がん細胞を破壊することを目的とします。

化学療法:

化学療法は抗がん剤を使用してがん細胞を攻撃し、がんの成長を抑制します。化学療法は肺がんが広がっている場合や他の治療法と併用されることがあります。

標的療法(ターゲット療法):

特定の分子標的薬物を使用してがん細胞を標的に攻撃する治療法です。肺がんの特定の遺伝子変異やタンパク質に対して効果的です。