膵臓がんとは

すい臓は、消化酵素を分泌する外分泌機能と、インスリンなどのホルモンを分泌する内分泌機能を持っている臓器で、内分泌機能では、インスリンなどのホルモンを分泌して血糖値を調節し、外分泌機能では消化酵素を産生して食物の消化を助けるという働きをする臓器です。その組織で発生するがんの一種が膵臓がんですが、多くは膵管に発生し、腺がんに分類されます。膵臓がんは、早期からすい臓周辺のリンパ節や肝臓に転移しやすく、腹部内でがん細胞が散らばりひろがっていく腹膜播種が起こる場合もあります。しばしば診断が遅れるため治療が難しい疾病の一つと言われています。

膵臓がんの原因については不明ですが、喫煙習慣、遺伝的要因、慢性膵炎などが高リスク因子として挙げられます。

膵臓がんの初期症状は一般的に現れにくいですが、進行すると以下のような症状が現れることがあります：腹痛、体重減少、食欲不振、消化不良、黄疸（皮膚や眼が黄色くなる）、脂肪便などがあります。 また、膵臓がんの診断には、画像検査（CTスキャン、MRI、超音波）、血液検査、内視鏡検査、組織生検などが使用されます。

膵臓がんに対し提案される治療の一例

膵臓がんの治療は、まず手術が可能かどうかの検討から始まります。ステージに応じて、治療方針が決定されます。

手術可能な場合（”切除可能”）:

膵臓がんが早期に発見され、周囲の臓器や血管に広がっていない場合、手術が検討されます。手術はがんの切除を試みる治療法です。手術は膵臓がんの早期治療において最も効果的な方法の一つです。 手術単独または手術と薬物療法の組み合わせが行われることがあります。

手術ができないがん（”切除不能”）:

膵臓がんが周囲の大きな血管に侵入していたり、別の臓器に転移していたりする場合、手術は実施できません。この場合、薬物療法や化学放射線療法が検討されます。

症状の管理と支持療法:

がんが進行している場合、痛みや食欲の低下などの症状の管理が重要です。支持療法は、患者の生活の質を向上させるために提供されます。これには、痛みのコントロール、栄養療法、精神的支援などが含まれます。

1. 手術:

手術は膵臓がん治療の主要なオプションであり、がんが局所的であり、手術可能な場合に選択されます。

2. 放射線療法:

放射線療法は、手術前後にがんの縮小や制御を目指すために使用されることがあります。放射線は高エネルギーのX線や陽子線を使用してがん細胞を標的とし、破壊します。

3. 化学療法:

化学療法は抗がん剤を使用してがん細胞を攻撃し、がんの成長を抑制します。 一般的な抗がん剤としては、ゲムシタビン（Gemcitabine）がよく使用されます。

4. 標的療法:

標的療法は、特定の分子標的に作用する薬物を使用してがん細胞を攻撃します。膵臓がんの一部の種類に対して有効です。 エルロチニブ（Erlotinib）などが使用されます。