骨・筋肉(靱帯損傷・足の骨の異常)
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世界から研修に集まるアジアで唯一の「足の外科専門」病院 靭帯損傷、外反母趾を体の負担を最小限に治療
23.10.12
「足の外科専門病院」である重城病院で、新しく病院を建て替えたのを機に海外からの患者受入を開始されるとお聞きし、重城院長にインタビューをしてきました。
アジアで唯一の「足の外科専門」病院
EAJ:「足の外科専門病院」はあまり聞いたことがなくユニークですね。病院の自己紹介からお願いします。
院長: 私は整形外科になってから主に高度な外傷を治療してきました。その中で、足首・足は骨折が治癒した後にも疼痛が遺残することが多いことに気づきました。整形外科の中で足首や足の治療に詳しい人は少なく、そこで帝京大学で活躍されていた高尾先生に指導を受けるべく2015年に帝京大学へ行きました。高尾先生の技術や知識は世界でも轟いていましたが、何よりもその患者に寄り添う診察姿勢は大変見習うべきものが多く、ぜひ一緒にやっていきたいと思い、2017年に高尾先生と一緒に足の外科センター(CARIFAS)を立ち上げました。
高尾先生は、足関節鏡のパイオニア的存在で、今まで大きく開いて治療していた疾患について、関節鏡を用いて治療が出来るように独自の治療法を開発し、世界へ発信してきました。そのユニークさと成績の良さは世界各国で称賛を受け、海外から研修希望者が後を絶ちません。また関節鏡を用いない手術でも可能な限り創部が小さく、日常生活やスポーツへの復帰を早めるためにデバイスやインプラントの開発に携わってきました。その甲斐あって、現在では多くの患者さんが当院での治療を求めてこられています。
研修生は中国、タイ、香港、マレーシア、シンガポール、フィリピンからが多く来られていて、研修後に母国で足の外科治療を頑張っています。
関節鏡を使った靱帯損傷に対する手術 プロアスリートも来院
EAJ:それでは早速それぞれの術式についてお聞きします。足関節の靱帯損傷にはどのような手術を行うのでしょうか?
院長: スポーツなどで足首を捻挫すると靱帯が損傷することがありますが、2種類あって、靱帯が途中で切れてしまう場合、これは時間が経てば自然に治ります。もう一つ靱帯が外くるぶしから剥がれ落ちてしまう場合があり(足関節外側靱帯損傷といいます)、これはケガして一定期間経っても関節に痛みやゆるさ(不安定性)が残ったり違和感が取れなかったりします。
通常の手術では、3〜4センチほど切り靭帯を縫い付けます。
関節鏡を使った手術だと、0.5センチ程度の小さな穴を2つ開けて1つに関節鏡をもう1つに手術器具を入れて手術するのですが、傷が小さく治りも早いし、痛みが3分の1で済みます。翌日から歩くことができるので、両足同時に手術することもできます。
EAJ:靱帯の損傷と聞くと、ケガをしてからなるべく早く治療をしないと治らないような感じがしますが、多少時間が経ってしまっても治療はできるのでしょうか?
院長:ケガの後歩ける程度に回復しても、痛みやゆるみは3か月経過しても長い時には数年残ることもあります。その段階でも治療は可能です。プロ、アマ、趣味を問わずスポーツをしている方で、以前と同じ運動ができるようになりたいと治療を受けられることが多いです。当院では、競技に応じた個別リハビリテーションを提供し、1か月程度で完全復帰をされています。
EAJ:実際に靱帯損傷に対する手術を受けるとなると、どれくらいの期間日本に滞在する必要がありますか?
院長:全身麻酔をしますので、手術前日に入院、翌日手術して、次の日からリハビリを1週間ほど受けていただき、抜糸して退院となりますので、10日ほどでしょうか。
負担の少ない外反母趾の手術 DLMO法
EAJ:次に、外反母趾の手術についてお聞きします。御院での手術の特徴を教えてください。
院長:外反母趾とは、足の親指の付け根あたりが「く」の字に曲がり、その部分が傾くように回転する状態を言います。通常は、手術で傾いている部分の全体を戻しネジで止めます。切除する部分が大きく痛みや腫れが強くしばらく歩けないし、骨がくっつくまでに6週間ほど要するかなり大変な手術です。
当院では、第1中足骨の関節に近い部分で骨切りし、ワイヤ1本で止めるDLMO法で治療します。負担が少なく足の裏全体で体重をかけることが出来るので手術翌日から歩行でき、両足同時の治療も可能です。20日ほど入院してリハビリをしていただいた時点でワイヤを抜去します。金属が体に残ることもありません。
外反母趾で長年の痛みに苦しんでいる患者さんには、「おしゃれな靴を履けるようになり、長時間歩けるようになり、本当に手術して良かった」との声を頂いてます。ただ、外反母趾は遺伝の要素もあり、治療しても再発してしまうこともあります。通常の手術だと負担や痛みが大きすぎて2度目の治療は難しいと考える方が多いのですが、当院の治療は痛みも軽く治療期間も比較的短いため、複数回治療を受けられる方もいらっしゃいます。
EAJ:通常よりも回復が早いとは言え、20日間の入院が必要なのですね。
院長:外反母趾というのは曲がっている部分を手術しただけでは治らず、これまで外反母趾が原因でうまく動いていなかった他の指を正しく動かせないと、正常に歩けるようにはなりません。だから足に特化したリハビリが重要なのです。加えて、ワイヤが指から出ている状態なので、そこから細菌が入らないように衛生管理をする必要があります。
せっかく日本にいらっしゃったので、入院期間に、病院内で実施している麻酔鎮静下での胃カメラや大腸内視鏡やがんのゲノム検査をオプションで受けていただくこともできます。この機会に足を直して、ついでに健康チェックをされるのもよいかもしれません。神奈川県がんセンターのゲノム診療科の廣島部長が診察・検査を行っているため、万が一検査で何か見つかってもスムーズに治療することも可能です。
来院される方がポジティブな気持ちになれるような病院に
EAJ:御院は、病院とは思えないほどおしゃれなデザインがされた空間で、入院期間中も明るい気持ちで過ごせそうですね。
院長:まさに「病院っぽさをなくす」ことをコンセプトに知り合いの建築家にデザインを依頼しました。2022年の5月に建て替えたばかりです。患者さんに前向きに治療に取り組んでいただけるような雰囲気を作れればいいなと思い、なるべく無機質な素材を排除し、木のぬくもりやきれいな色使い、曲線を多用しました。おかげで、こどもの患者さんも怖がらずに来てくれるんですよ。
EAJ:建物だけでなく、病院の所在地も、羽田空港から車で30分、成田空港からも40分ほどとアクセスが便利ですね。外国人の患者さんが来院されたい場合はどうすればよいですか?
院長:当院では、言葉の問題、スケジュール調整、手配まで、日本エマージェンシーアシスタンス(EAJ)に全面的にサポートをお願いしていますので、安心してご来院ください。
日本で治療を希望する外国人の方は、EAJにお問い合わせください。