血液・リンパのがん(白血病)

白血病とは

23.09.29

白血病は、骨髄(骨の中に存在する血液細胞を生成する組織)やリンパ組織で発生する血液がんの一種です。白血病は通常、白血球(免疫細胞)の異常な増殖と成熟不全により、正常な血液細胞の生産が妨げられ、異常な白血球(白血球の種類によって異なります)が増加します。これにより、異常な白血球が正常な血液細胞の代わりに骨髄や血液中に存在し、健康な細胞の機能を妨げます。

白血病は一般的に急性白血病(Acute Leukemia)と慢性白血病(Chronic Leukemia)に分けられます。

「急性白血病」

・急性リンパ芽球性白血病(ALL):

骨髄や血液中でリンパ芽球(一種の白血球)が異常に増殖する疾患です。通常、子供や若い成人によく見られます。

・急性骨髄性白血病(AML):

骨髄で異常な骨髄細胞(造血幹細胞)が異常に増殖する疾患で、幅広い年齢層で発症します。

・急性前骨髄球性白血病(APL):

骨髄中の前骨髄球(骨髄中の一種の白血球前骨髄球)が異常に増殖する疾患です。特定の遺伝子異常に関連しています。

急性白血病の主な症状は、貧血、白血球の増加、出血傾向、リンパ節の腫れ、発熱、骨痛、脾臓や肝臓の腫れによる腹部のはれ、などがあります。

「慢性白血病」

・慢性リンパ性白血病(CLL):

成熟したリンパ球(B細胞リンパ球)が異常に増殖する疾患で、主に中高年の成人に見られます。

・慢性骨髄性白血病(CML):

骨髄で異常な骨髄細胞(特に骨髄系白血球)が増殖し、通常は中年の成人に発症します。

慢性白血病の主な症状は、急性白血病ほど急激ではありませんが貧血による疲労感、リンパ節の腫れ、免疫機能低下による感染症、異常な白血球数の増加、肝臓や脾臓の腫れなどがあります。慢性白血病は急性白血病と比較して進行が穏やかであるという特徴があります。

白血病に対し提案される治療の一例

急性白血病は急速に進行し、治療が急がれますが、慢性白血病は通常、長期間の治療が必要とされます。

急性白血病の治療

・化学療法:

急性白血病の治療の主要なアプローチは、高用量の抗がん薬を使用する化学療法です。これにより、異常な白血球が骨髄から排除され、正常な血液細胞が再生されます。化学療法は通常、複数の抗がん薬を組み合わせて行われます。

・放射線療法:

放射線療法は、特定の症例で使用されることがあります。通常は限局性の病変に対して行われ、骨髄への放射線療法は稀です。

・造血幹細胞移植:

一部の急性白血病患者は、高リスクの症例や再発した症例に対して造血幹細胞移植が検討されることがあります。これにより、患者の骨髄が正常な造血幹細胞で置き換えられます。

慢性白血病の治療

・標的療法:

慢性白血病の治療には、特定の分子標的薬物が使用されます。これらの薬物はがん細胞に特異的に作用し、正常な細胞には影響を与えないことが目指されます。例えば、慢性骨髄性白血病(CML)の治療には、チロシンキナーゼ阻害薬(Imatinibなど)が用いられます。

・免疫療法:

免疫療法は、患者の免疫システムを活性化し、がん細胞に対する攻撃を促進するために使用されます。これには抗体療法やCAR-T細胞療法などが含まれます。

・化学療法:

一部の慢性白血病患者は、化学療法が適切な治療オプションである場合があります。しかし、急性白血病ほど高用量の化学療法は一般的ではありません。