画像診断(超音波検査、RI検査、SPECT、PET)

高性能MRIを使った全身のがん検査DWIBS PET-CT検査との違いは?

23.10.16

MRI、そしてMRIを使ったDWIBSとは?

MRI(磁気共鳴画像診断装置)検査は、強力な磁場を発生させて体内の状態を断面像として描写します。頭部や下腹部の検査に有用で、脳ドックにもMRIが使われます。CT(コンピュータ断層診断装置)やレントゲン検査と違い、放射線による被ばくがありません。 DWIBS(Diffusion-weighted Whole body Imaging with Background body signal)は、高性能のMRIを使用して体の広い範囲のがんや転移を探す全身がん検査で、2004年に日本の医師によって開発されました。

PET-CT検査との違いは? 

一度の検査で全身のがんを調べる検査としてはPET-CTが知られていますが、DWIBSとPET-CTはどのように違うのでしょうか。

PET-CTは、がんなどの悪性腫瘍が正常細胞よりも大量に糖代謝を行う性質を利用して、糖に反応して微量の放射線を放出する薬剤を体内に注射し、がんに集まった薬剤から放出される放射線をカメラでとらえることでがんを調べます。検査薬の注射を含め約3時間かかり、検査後の待機時間もあります。

DWIBSは、正常細胞に比べてがんは細胞と細胞の間の密度が高い性質を利用して、細胞間の水の動きを調べられるように調整した磁場をあたえることでがんを映像化します。

DWIBSは、PET-CTで使う薬剤も使わないし、被ばくもしません。検査前の食事制限もありませんし、PET-CTでは検査できないこともある糖尿病患者も検査を受けることができます。検査時間は約30分と、PET-CTよりも短時間で終了します。一方、強い磁場で検査を行うため、体内に金属のある方は検査ができません。

患者さん個人によって最適な検査を 

また、それぞれの検査で、がんの種類によって向き不向きがあります。DWIBSは肺や心臓周囲の病変検出が苦手とされており、 一概にどちらの検査が優れているということではありませんので、患者さん個人によって最適な検査を選ぶことになります。いずれの検査においても、炎症等がん以外の病変も検出されることがあるのが通常で、発見された病変がすべてがんというわけではなく、検出された病変は改めて精査されることになります。 

 DWIBSはがんだけではなく、前がん病変(がんになる前の状態)やがん以外の良性疾患も発見される可能性があります(脊椎、肝臓、腎臓、膵臓、子宮、卵巣、前立腺疾患など) 。 

DWIBSの検査に興味があって受けてみたい、PETとどちらを受けた方がいいか知りたい、人間ドックにDWIBSの検査をプラスしたい、などのご要望がありましたらEAJまでご連絡ください。