危険因子(ストレス(免疫、酸化、生活習慣、糖化))

腸内細菌のスペシャリストに聞く「腸から健康を考える」 Sheep Medical(株)が提供する菌ドックと菌バンク

24.02.28

次世代シーケンサーを使って腸内細菌のDNAを調べる検査を、ぜひ海外から日本にいらっしゃるお客様にも展開してほしいという連絡を受け、Sheep Medical㈱の研究所に行くことになりました。研究者でコンシューマープロダクト事業本部の島田和典チームマネージャーにお話を聞きました。

EAJ:さっそくですが、腸内DNA検査「菌ドック」とはどのようなものなのでしょうか?

島田:ヒトの腸内には約1000種類40兆個にもおよぶ細菌が棲息していて、これが腸内細菌叢とか腸内フローラを形成しています。腸内細菌は大腸菌などを除いてほとんどの腸内細菌は酸素に触れると死んでしまうん「嫌気性の細菌」です。検査ではお客様が自分でほんの米粒くらいの量の便を取り、液体の入った専用の採便キットに入れて、研究所に郵送してもらいます。この液体には細菌を即死させてDNAを保護する成分が入っているので、死んだ細菌のDNAが壊れずに固定されます。  検体が研究所に届くと、シーケンサーと呼ばれる高速かつ大量のDNA塩基配列を解読する装置を使って、その人の腸の中にいる細菌の種類と割合を調べます。この検査領域は世界でも日本は進んでいますよ。

(写真コメント)米国製のシーケンサー。1回におよそ2千万種類の遺伝子を高速で解析。この小さな電子チップにはおよそ5000万個の穴があいていて、一つ一つに遺伝子配列を解析するためのビーズが入るそうです。

検査結果は、例えばこのサンプルの人の場合、、(実際の検査結果報告書を広げて)検出された菌の種類は71種類ですが、暗号文字のようで普通の人にはちんぷんかんぷん状態でしょ?

EAJ:たしかに、これ見ても全然わからないですね。

島田:報告書では、一般の方にもわかりやすいように、それぞれの細菌の説明や独自の計算式により計算した腸の年齢や、問診情報からの食生活アドバイスも書かれています。

EAJ:あ、「太りやすさ“デブ菌優位”」と書かれてる!平均や理想値が出ているものもあるのですね。結果が出たら、その後は何かサポートしていただけるのですか?

島田:食生活のアドバイスの他に食事だけでは摂取しきれない場合は、結果に沿ったサプリメントの提案と販売もしています。9種類あるのですが、そのうち6種類はプロバイオティクスといってビフィズス菌や納豆菌など細菌そのもので、2種類はバイオジェニックスといって細菌が腸の中で作り出す人の健康を正常に維持させるための物質、もう1種類は食物繊維をサプリにしたものです。

EAJ:足りない菌を摂取したからといって腸の中に定着するわけではない、と聞いたことがあるのですが。

島田:多くの細菌は胃酸で死んでしまいますが、死骸も細菌のエサになるし、ヨーグルトなどの発酵食品自体も、考え方によってはバイオジェニックスです。でも市販の商品に含まれる細菌は、他人の細菌を培養したものであり、たとえ同じ種類の細菌であっても似て非なるものなので、もとからいる細菌を駆逐してしまう作用をしてしまう場合もあります。アタリハズレがあるので、良い結果が出なかったら他のもので再トライした方がいいんです。いろいろな方法で、今いる細菌のバランスを整えることが重要なのです。 また、細菌をサプリレベルに大量に摂取すると、腸内の細菌たちが驚いて大騒ぎをして免疫などが活性化するということもあるようです。細菌についてはまだまだ研究者でもわからないことがたくさんあります。

EAJ:食事やサプリ以外で腸に良いことはありますか?

島田:腸のうごきを活発にするために運動や腸をもむマッサージも有効です。また副交感神経が活発になると腸の働きは活発になるので十分な睡眠をとることも重要です。 努力すれば腸は変わります。よく夫婦は長年一緒に暮らすと顔が似てくる、といいますが、同じような細菌に囲まれているから、腸内細菌が似てくるのでは?という考え方もあります。  菌ドックも体調が良い時にやって、自分の良い状態のバランスを知る、という使い方もできるし、今腸に不安があって一度検査して、その後サプリなどの介入をして再度検査して効果を確認する、ということもできます。うまく活用して健康につなげてください。

EAJ:将来、腸内細菌バランスが崩れてしまった時のための準備ができるとおうかがいしましたが。

島田:はい、「菌バンク」というサービスを提供しています。調子が良い時の便からビフィズス菌や乳酸菌などの安全で有用な細菌を分離して冷凍保存しておきます。マイナス80度の冷凍庫に入れるので最長で20年程度は保管できると考えています。将来、がんに罹って抗がん剤治療を受けたりピロリ菌の除菌をしたりして、腸内細菌バランスがボロボロに崩れてしまった時に、それを解凍して培養して乾燥してカプセルに詰め摂取すると、バランスが戻るサポートとなる、というものです。  先ほど、他人の細菌を培養させたものは自分の持っている細菌を駆逐してしまうことがあると言いましたが、自分の細菌ならばその心配はありません。私も実際に自分の腸内細菌を培養したものを飲んでみましたが、お通じの調子が抜群によくなり、朝一から快適になりました。

(写真コメント)酸素を除去した環境で細菌を分離・培養する作業を行います。

EAJ:何かあった時に備えていると心強いですね。本日は研究室の見学もさせていただきどうもありがとうございました。

島田さんには次から次へといろいろな腸内細菌のお話をしていただきましたが、特に「努力すれば腸は変わる」という言葉が印象的でした。みなさんも腸活のきっかけとして菌ドックを受けてみるのはいかがでしょうか。 EAJで検査を取り扱っていますので、お問合せはこちらまでお願いします。