内分泌系(甲状腺疾患)

甲状腺疾患

23.09.23

甲状腺は首の前面、気管のすぐ前に位置する蝶の形をした内分泌腺です。甲状腺は甲状腺ホルモンを生成し、これが体のエネルギー利用や体温、心拍数などの生体機能を調節します。甲状腺が影響しはさまざまな疾患が発生します。

甲状腺疾患・治療における日本の強み

日本には甲状腺疾患の専門家が多く、その経験と技術は国際的にも高く評価されています。これにより、患者は高度な医療を受けることができます。 特に2011年の福島第一原発事故後、甲状腺が放射線による影響を受けやすいことから、特に子どもたちの間での甲状腺検査が増加しました。これにより、甲状腺疾患の診断や治療の経験が増加して検査水準が上がっています。

甲状腺疾患には以下のようなものがあります。

・甲状腺機能低下症(低下症):

甲状腺ホルモンが不足している状態。疲れやすい、体重増加、低体温などの症状が見られます。甲状腺ホルモン補充療法を行うことが多いです。

・甲状腺機能亢進症(亢進症):

甲状腺ホルモンが過剰に分泌される状態。体重減少、動悸、手の震え、多汗、不眠などの症状が現れることがあります。甲状腺ホルモンの生成を抑制する薬を処方したり、甲状腺組織を破壊するために放射性ヨウ素を使用したり、手術で甲状腺の全部または一部を除去して治療します。

・甲状腺結節:

甲状腺内に固まりやしこりができる状態。多くは良性ですが、がんのリスクも考慮する必要があります。

・甲状腺がん:

甲状腺組織が悪性に変化した状態。早期発見・治療が可能な場合が多いです。外科手術による甲状腺組織の除去や放射性ヨウ素治療を行います。

・慢性甲状腺炎(橋本病):

免疫系が甲状腺を攻撃し、炎症が起こります。治療としては合成甲状腺ホルモンを服用してホルモンの不足を補います。日本の医師、橋本策(はかる)が最初にこの疾患について詳しく報告を行ったため、この病名がつきました。

・バセドウ病:

甲状腺の自己免疫疾患の一つで、甲状腺機能亢進症の主な原因です。眼球突出などの特徴的な症状を持つことがあります。亢進症の治療を行います。

甲状腺腫:

甲状腺の一部または全体が拡大する状態。ヨウ素不足などが原因で発生することがあります。ヨウ素が不足している場合はヨウ素を補います。