治療法(BNCT)
世界初の臨床応用が始動 南東北BNCT 研究センターが最先端のがん治療をリード
26.04.15
BNCT とは?
BNCT は高い選択性を持つ放射線治療です。ホウ素を含む薬剤をがん細胞に集め、その後
中性子を照射することで、ホウ素-10 が核反応を起こし、短距離粒子を放出してがん細
胞だけを正確に攻撃します。正常な組織へのダメージを最小限に抑えられるため、今後
の「細胞レベル精密がん治療」として期待されています。
BNCTの3つの主な特長
1.細胞レベルで正確にアプローチし、健康な組織への影響が最小限に抑えられます。
2.ほとんどの患者さまは一度の照射で治療が完了し、施術時間は約30~60 分です。
3.高い治療精度により再発した腫瘍の患者さまにも新しい選択肢を提供でき、放射線治療歴があっても病状によっては再度照射が可能です。

日本は世界に先駆けて、臨床応用と保険適用の新時代へ
日本ではBNCT が、切除できない局所進行型や再発性の頭頸部がんに対して承認さ
れ、医療保険の対象となりました。2020 年には、加速器型BNCT システムとホウ
素薬剤Steboronine® が認可され、同年5 月には南東北BNCT 研究センターがいち
早く通常の臨床治療を開始し、6 月から保険適用が実現。BNCT が標準化・臨床化
された新たな時代の幕開けとなりました。
南東北BNCT 研究センター:世界の最先端をリード
同センターは、BNCT の臨床応用を世界規模で推進し、多くの臨床実績を重ねています。2026年2 月時点で、治療実績は463 名を超え、日本国内でもトップクラスの実績を誇ります。研究結果によると、2024 年には47 名の患者のうち完全寛解率が51%、客観的奏効率が74%を記録。1 年生存率は86.1%、2 年生存率は66.5%となりました。さらに、2026 年のメタ解析では7 つの研究・361 名の患者データをもとに、局所再発頭頸部がんの客観的奏効率は70%、2 年生存率は45%と報告されています。

厳密な評価に基づく適切な治療
BNCTはすべての患者さんに適応となる治療ではありません。治療前には、FBPA-PET/CTにより、ホウ素薬剤が腫瘍にどの程度集積するかを評価し、適格と判断された患者さんのみが治療の対象となります。
当センターでは、住友重機械工業と京都大学が開発したNeuCure®を採用しており、同装置を世界で初めて正式に臨床導入した医療機関です。 BNCTは通常1回の照射で治療を完了し、入院期間は3~7日程度です。退院後は2年間の経過観察を行います。
海南省初の成功例としての意義
海南省における初のBNCT臨床治療の実施は、中国におけるBNCTの臨床応用が正式に始動したことを示すとともに、国際医療連携の一層の深化を象徴するものでもあります。南東北BNCT研究センターは、最先端の技術と豊富な臨床経験を強みに、世界のBNCT発展に向けた重要な指針を示してきました。2024年12月以降、同センターは海外患者の受け入れも開始し、BNCTの国際展開をさらに推進しています。
BNCTは単に「先進的な治療」であるにとどまらず、再発がんや難治性腫瘍に苦しむ患者さんに新たな希望をもたらす治療法でもあります。今回の海南省初の成功例は、中国におけるBNCT臨床実践の重要な出発点であり、日本の南東北BNCT研究センターは、世界をリードする臨床実績をもとに、今後もその発展を力強く後押ししていきます。
※ 本記事は南東北BNCT 研究センターの公開資料および医学文献を元にまとめています。